日本ワインのおすすめ15本。品種・価格帯・シーンで選ぶ最初の一本

日本ワインを飲んでみたいけれど、どれから選べばいいかわからない。そんな声にまっすぐ応えるために、この記事では全国で手に入りやすい定番の15本を、泡・白・赤とロゼに分けて紹介します。すべて実在の現行銘柄で、実売価格の目安も添えました。
前半では銘柄選びの前提になる「選び方の軸」を整理し、後半で具体的な15本、最後に買い方と楽しみ方をまとめています。初めての一本を探している方も、贈り物を選びたい方も、この記事だけで候補が絞れる構成です。
日本ワインの選び方。3つの軸で絞り込む
まず言葉の整理をひとつだけ。国産ぶどうを100%使い、国内で醸造したワインだけが「日本ワイン」と名乗れます。2018年10月に完全施行された表示ルールで、輸入原料を使う「国産ワイン(国内製造ワイン)」とは明確に区別されました。詳しくは日本ワインと国産ワインの違いで解説しています。
そのうえで、選ぶ軸は品種、産地、価格帯の3つです。順に見ていきましょう。
品種で選ぶ
いちばん失敗が少ない軸です。和食に寄り添う白なら日本固有の甲州、渋みの穏やかな赤ならマスカット・ベーリーA。この2つは日本ワインを代表する品種で、どのワインショップでも見つかります。
世界的な品種で日本の実力を知りたいなら、白はシャルドネ、赤はメルローが狙い目です。品種ごとの特徴はぶどう品種図鑑にまとまっているので、気になる名前があれば先に眺めてみてください。
産地で選ぶ
甲州の本場山梨、メルローの銘醸地長野、冷涼な気候でピノ・ノワールが注目される北海道、老舗ワイナリーが集まる山形。産地の名前でラベルを読めるようになると、選ぶ楽しさが一気に増します。
旅行先や出身地のワインから入るのも良い方法です。全国の造り手は産地マップから県ごとにたどれます。
価格帯とシーンで選ぶ
普段の食卓なら1,000円台、週末のごちそうや持ち寄りなら2,000円台、記念日や贈り物なら3,000円台以上。この目安で考えると迷いません。日本ワインは小規模生産が多いぶん割高と言われますが、1,000円台にも良い造り手の定番がきちんとあります。
価格帯ごとの深掘りは1,000円台、2,000円台、3,000円台の各記事に任せて、ここからは軸をまたいだ定番15本を紹介します。なお価格はいずれも記事作成時点の実売の目安で、店舗やヴィンテージによって変動します。
スパークリングのおすすめ3本
乾杯の一本から始めましょう。日本のスパークリングは和柑橘を思わせる香りと控えめな泡立ちが持ち味で、食事の最初から最後まで付き合える懐の深さがあります。
嘉スパークリング シャルドネ(高畠ワイナリー)
山形県高畠町のシャルドネで造る、日本スパークリングの定番中の定番です。柑橘と白い花の香り、きめ細かな泡、すっきりした辛口。和洋を問わず食事に合わせやすく、実売はおよそ2,300円台です。
「嘉(よし)」の名前どおり、お祝いの席への手土産にも向きます。ラベルも上品で、日本ワインを初めて贈る相手への一本として安心して選べます。
酵母の泡 甲州(マンズワイン)
山梨県産の甲州100%を使ったスパークリングで、伊勢志摩サミットで提供された実績でも知られます。柚子や甘夏のような和柑橘の香りと、やさしい泡立ちが特徴です。
実売はおよそ2,000円前後と手頃で、天ぷらや寿司との相性は抜群です。国際会議の乾杯酒がこの価格で家飲みできるのですから、使わない手はありません。
安心院スパークリングワイン(安心院葡萄酒工房)
大分県宇佐市安心院(あじむ)町のシャルドネを、手間のかかる瓶内二次発酵で仕上げた本格派です。トーストのような熟成香ときれいな酸があり、国産スパークリングのコンクールで高い評価を重ねてきました。
実売はおよそ3,800円台とこの中では贅沢枠ですが、シャンパーニュと同じ製法の実力を日本で味わえる代表格です。記念日の乾杯にどうぞ。
白ワインのおすすめ6本
日本ワインの白は、繊細な出汁の味に寄り添える世界でも珍しい存在です。まずは甲州から入り、シャルドネやナイアガラへ広げていくのが王道の流れです。
グレイス甲州(中央葡萄酒)
甲州という品種の評価を世界に知らしめた、山梨・勝沼の名門グレイスワインの看板です。グレープフルーツを思わせる香りと張りのある酸、ミネラル感のある辛口で、国際コンクールでの受賞歴も豊富です。
実売はおよそ3,000円台半ば。「まず基準になる甲州を一本」と聞かれたら、多くのプロがこれを挙げます。刺身や白身魚の塩焼きと合わせてみてください。
シャトー・メルシャン 玉諸甲州きいろ香(シャトー・メルシャン)
甲州に隠れていた柑橘香を研究で引き出した、甲州ワインの歴史を変えた一本です。すだちやレモンのような香りがはっきりと立ち、味わいはあくまで上品な辛口にまとまっています。
実売はおよそ2,700円台。グレイス甲州と飲み比べると、同じ品種の中の造りの違いが見えてきます。甲州を深掘りしたくなったら甲州を造るワイナリー一覧もどうぞ。
シャトー・メルシャン アンサンブル 萌黄(シャトー・メルシャン)
甲州とシャルドネを中心に、日本各地のぶどうを調和(アンサンブル)させた白です。果実の丸みと酸のバランスが良く、幅広い家庭料理を受け止めてくれます。
実売はおよそ1,800円前後で、スーパーや量販店でも見つけやすい流通量が魅力です。「今夜、日本ワインを試したい」と思い立った日に、そのまま買って帰れます。
グランポレール 甲州(サッポロビール)
サッポロビールが手がけるプレミアム日本ワインブランドの甲州です。低温発酵で引き出したフルーティーな香りと爽やかな酸の辛口で、冷やして気軽に楽しめます。
実売はおよそ1,400円台からと、この記事の白では最も手頃です。1,000円台で「日本ワインらしさ」をきちんと感じられるので、入門の白はこれで決まりです。
おたるナイヤガラ(北海道ワイン)
小樽の北海道ワインが造る、日本で最も売れている日本ワインのひとつです。ナイアガラ種ならではの華やかな甘い香りで、やや甘口の飲みやすさは「ワインが苦手」という人の入り口にもなります。
実売はおよそ1,200円台からです。よく冷やして食前酒に、あるいは辛口タイプを選んで食中酒に。甘やかな香りの生食用品種の世界を知る好例です。
高畠クラシック シャルドネ(高畠ワイナリー)
嘉スパークリングと同じ高畠ワイナリーによる、山形県高畠町産シャルドネの白です。柑橘と洋梨の香り、厚みのある果実味で、シャルドネらしい満足感があります。
実売はおよそ2,400円台。東北の冷涼な気候が生むきれいな酸は、クリーム系のパスタや鶏料理と好相性です。日本のシャルドネの現在地が、この価格でよくわかります。
赤・ロゼワインのおすすめ6本
日本の赤は渋みが穏やかで、出汁や醤油の料理と喧嘩しないのが持ち味です。なお北海道のドメーヌ・タカヒコのような入手困難な憧れの造り手は、まず定番で日本の赤を好きになってから探しても遅くありません。
シャトー・メルシャン アンサンブル 藍茜(シャトー・メルシャン)
長野のメルローと山梨のマスカット・ベーリーAをブレンドした、和食のための赤です。ベリー系の果実味と穏やかなタンニンで、肉じゃがや照り焼きのような甘辛い味付けによく合います。
実売はおよそ1,800円前後。白の萌黄と対になる存在なので、2本そろえて食卓で飲み比べるのも楽しい選び方です。
登美の丘 赤(サントリー登美の丘ワイナリー)
山梨・甲斐市の自家ぶどう園から生まれる、SUNTORY FROM FARMシリーズの看板赤ワインです。赤い果実とスパイスの香りが調和した、やわらかく上品な味わいに仕上がっています。
実売はヴィンテージにより幅があり、およそ3,500円から6,000円弱。大手の技術力と畑の蓄積を感じられる完成度で、ワイン好きへの贈り物にも堂々と出せる一本です。
グランポレール 岡山マスカット・ベーリーA 樽熟成(サッポロビール)
岡山県井原市の契約栽培ぶどうを樽で熟成させた赤です。マスカット・ベーリーA特有のチャーミングな果実の香りに、樽由来のまろやかさが重なります。
実売はおよそ1,800円台。この品種の「いちごを思わせる香り」を素直に感じられるので、日本固有の赤品種の入門としておすすめします。
農民ロッソ(ココ・ファーム・ワイナリー)
栃木県足利市の山の斜面の葡萄畑から始まったワイナリーの、野生酵母で発酵させた普段着の赤です。メルローやカベルネ・ソーヴィニョン、マスカット・ベーリーAなどをブレンドし、素朴で飲み飽きない味わいです。
実売はおよそ1,600円台からで、毎日の食卓に置ける価格です。飲むうちに造り手の物語ごと好きになる人が多いのも、このワイナリーならではです。
NACメルロー(井筒ワイン)
メルローの銘醸地、長野県塩尻市桔梗ヶ原の老舗が造る赤です。NACは長野県原産地呼称の認定を示し、県産ぶどうの品質を県が保証しています。プラムの果実味となめらかな渋みが心地よい、ミディアムボディの正統派です。
実売はおよそ1,700円台。長野メルローの実力をこの価格で試せるのは貴重です。気に入ったら桔梗ヶ原の上級キュヴェへ進む道が待っています。
キャンベル・アーリー ロゼ(都農ワイン)
宮崎県都農町の温暖な畑から生まれる、いちごのような香りのやや甘口ロゼです。海外のワイン誌に取り上げられて一躍有名になった、九州を代表する造り手のロゼです。
実売はおよそ1,700円台。アルコール度数が9%と低めで、よく冷やせば辛いもの好きの食卓や屋外のごはんにもよく合います。赤と白の間で迷ったらロゼ、という選び方も覚えておいて損はありません。
日本ワインの買い方と楽しみ方
銘柄が決まったら、次はどこで買うかです。日本ワインは流通量が少ないものも多いので、探し方を知っておくと出会いの確率が上がります。
ワインショップと酒販店で探す
今回の15本のような定番は、日本ワインに力を入れるワインショップや百貨店の酒売り場でよく見かけます。大手メーカーのものはスーパーでも手に入ります。近くの店を探すならワインショップ一覧が起点になります。
店頭で迷ったら、店員さんに「和食に合う日本ワインを」と聞いてみてください。日本ワインの棚がある店なら、必ず好みに寄り添った提案が返ってきます。
ワイナリーの直売とオンラインショップ
確実なのは造り手から直接買う方法です。多くのワイナリーが公式オンラインショップを持ち、現地の直売所には限定品も並びます。試飲ができるワイナリーなら、飲んで納得してから買えます。
気に入った造り手ができたら、ぜひ現地を訪ねてみてください。畑を見てから飲む一杯は格別です。準備や予約のコツはワイナリー見学ガイドにまとめています。
飲むときの温度だけ気をつける
難しい作法は要りませんが、温度だけは味を大きく左右します。スパークリングと甘めの白はしっかり冷やして5〜8度、辛口の白は8〜12度、赤は少し冷やし気味の14〜16度が目安です。
日本の赤は軽やかなものが多いので、常温より少し冷やすほうが果実味が生きます。もっと体系的に学びたくなったら、街のワインセミナーや体験に参加する手もあります。
日本ワイン選びのよくある質問
初心者はどれから飲むのがいいですか?
白なら甲州、赤ならマスカット・ベーリーAの1,000円台後半から2,000円台をおすすめします。この記事ならグランポレール 甲州やアンサンブル 藍茜あたりが入り口です。飲みやすさ重視ならおたるナイヤガラのようなやや甘口から始めても構いません。
日本ワインはなぜ値段が高めなのですか?
雨の多い気候でぶどう栽培の手間がかかること、畑や生産の規模が小さいことが主な理由です。そのぶん1,000円台の定番にも造り手の工夫が詰まっています。価格帯ごとの実力派は1,000円台のおすすめ記事で紹介しています。
プレゼントにはどれを選べばいいですか?
華やかさなら嘉スパークリング、格を求めるなら登美の丘 赤か安心院スパークリングが定番です。相手の出身地や思い出の土地のワイナリーから選ぶと、味以上の物語を贈れます。産地マップで県ごとに探してみてください。
まとめ
日本ワイン選びは、品種、産地、価格帯の3つの軸さえ持てば迷いません。まずはこの記事の15本から気になる一本を選び、飲みながら自分の好みの軸を見つけていくのがいちばんの近道です。
気に入った一本ができたら、その造り手の畑を訪ね、産地の空気ごと味わってみてください。見学・ツアーがあるワイナリーから、次の旅先を探せます。