日本ワインのスパークリングおすすめ10選。瓶内二次発酵の本格派から乾杯の定番まで
乾杯の一杯を日本ワインの泡にしてみると、その進化に驚くはずです。シャンパーニュと同じ製法で仕込む本格派から、ぶどうの香りがはじける気軽な微発泡まで、日本のスパークリングワインはこの10年で選択肢が一気に広がりました。
この記事では、いま実際に流通していて手に入れやすい日本ワインのスパークリングを10本紹介します。製法の違いをやさしく整理したうえで、2000円台までの乾杯定番、3000円台以上の本格派、甘口や微発泡の楽しい泡に分けて選びました。シーン別の選び方まで、この一本で泡選びが完結する構成です。
日本の泡はここまで来ている
日本のスパークリングワインと聞いて、甘いお祭りのお酒を思い浮かべる方はもう古いかもしれません。国内のコンクールでは泡の部門が定着し、海外の品評会で賞を獲る銘柄も珍しくなくなりました。産地も山形、山梨、新潟、大分、宮崎と全国に広がっています。
変化を引っ張ってきたのが、瓶内二次発酵に挑む造り手の増加です。瓶の中で時間をかけて泡を育てるこの製法は手間もコストもかかりますが、大分の安心院葡萄酒工房や山梨のルミエールのように、長年磨き続けて看板に育てたワイナリーが各地に現れました。
一方で、大手の技術力が支える2000円前後の泡も着実に美味しくなっています。マンズワインや高畠ワイナリー、シャトー・メルシャンといった造り手が、日常の乾杯にちょうど良い品質と価格を両立させてくれました。
甲州の繊細な柑橘香、デラウェアの華やかな香り、ナイアガラの甘い香り。日本のぶどうは泡との相性が良く、和食に寄り添う個性はシャンパーニュにはない魅力です。今日の泡は、値段ではなく「どんな場面で開けるか」で選べる時代になりました。
選択肢が増えたからこそ、大切なのは自分の場面に合う一本を知っておくことです。次の章で製法の違いを押さえてから、価格帯とタイプ別に10本を見ていきましょう。
まずは製法の違いをざっくり知る
スパークリングワインの味と価格は、泡の造り方でほぼ決まります。細かい専門知識は不要で、大きく3つの方式だけ覚えておけば十分です。ラベルや商品説明にヒントが書かれていることが多いので、選ぶときの物差しになります。
瓶内二次発酵は手間をかけた本格派
ワインを瓶に詰めてから酵母と糖を加え、瓶の中でもう一度発酵させて泡を生む方式です。シャンパーニュと同じ造り方で、トラディショナル方式とも呼ばれます。酵母と長く触れることでパンのような香ばしい風味が生まれ、泡はきめ細かく長持ちします。
一本ずつ瓶の中で仕上げるため時間と手間がかかり、価格はおおむね3,000円以上になります。記念日やギフトなど、格の欲しい場面で選びたいタイプです。
シャルマ方式は果実の香りを残す造り
密閉した耐圧タンクの中で二次発酵させ、泡ごと瓶詰めする方式です。大きなタンクで効率よく造れるぶん価格を抑えやすく、ぶどう本来のフレッシュな香りがそのまま残るのが持ち味です。
甲州やデラウェアのように香りの繊細な品種とは特に好相性で、日本の2000円前後の美味しい泡の多くがこの方式で造られています。
炭酸ガス注入は気軽な入り口
ワインに炭酸ガスを直接溶け込ませる、いちばんシンプルな方式です。発酵由来の泡に比べると持続力は控えめですが、そのぶん価格が手頃で、ぶどうの香りをストレートに楽しめます。
甘口や微発泡のカジュアルな泡に多い造りで、お風呂上がりの一杯のような気軽な場面にはむしろ向いています。優劣ではなく、場面ごとの使い分けと考えるのが正解です。
2000円台までの乾杯の定番5本
まずは普段の乾杯にちょうど良い、2000円台までの5本です。金曜の夜や友人との家飲みで気兼ねなく開けられて、味わいは値段以上。なお、この記事の価格はいずれも執筆時点の実売の目安です。ヴィンテージの切り替わりや店舗によって前後するので、購入時に確認してください。
酵母の泡 甲州(マンズワイン)
山梨県産の甲州を、国内では数少ないシャルマ方式でじっくり二次発酵させた辛口の泡です。ゆずや夏みかんを思わせる和柑橘の香りに、やわらかい泡ときれいな酸が続きます。実売はおよそ2,000円前後です。
お刺身や天ぷら、塩焼きの魚など、和の食卓との相性は抜群です。日本の泡を初めて選ぶ方の一本目として、まず間違いのない定番と言えます。
嘉スパークリング シャルドネ(高畠ワイナリー)
山形県高畠町のワイナリーが手がける、日本のスパークリングを語るうえで外せないロングセラーです。シャルドネ由来の白い花と柑橘の香りが華やかで、すっきりした辛口ながら果実の厚みも感じられます。
「嘉」の字には祝いやよろこびの意味があり、乾杯の場にこれほど似合う名前もありません。2,300円前後で手に入るお祝い泡の代表格です。
嘉スパークリング ロゼ(高畠ワイナリー)
同じ嘉シリーズのロゼは、淡いサーモンピンクの色合いがグラスに映える辛口です。赤い果実の可憐な香りとキレの良い後味で、見た目の可愛らしさに反して食事に合わせやすい実力派です。
実売はシャルドネとほぼ同じ2,300円ほど。誕生日の食卓や女子会など、色でも場を華やげたい日に指名したい一本です。
日本のあわ 勝沼甲州(シャトー・メルシャン)
日本ワインの名門シャトー・メルシャンが、勝沼の甲州で仕込むスパークリングです。きめ細かくやわらかい泡立ちと、甲州らしい上品な柑橘の風味があり、名前のとおり「和」の食卓を意識した設計になっています。
2,300円前後という価格ながら、名門の看板を背負った安定感は格別です。年末年始の集まりのように、幅広い世代が集まる席で安心して開けられます。
スパークリングワイン キャンベル・アーリー ドライ(都農ワイン)
宮崎県都農町のぶどう、キャンベル・アーリーで造るロゼの辛口泡です。いちごを思わせるチャーミングな香りはそのままに、味わいはすっきりドライ。アルコール度数10%と軽やかで、乾杯からするする飲めてしまいます。
ワイナリー直販で税込2,200円です。九州にも美味しい泡があるという驚きごと、話の種として持ち込める一本です。
3000円台以上の本格派2本
次は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で仕込む本格派を2本紹介します。どちらも国内コンクールで評価を重ねてきた実力者で、記念日の乾杯や贈り物に堂々と使える格があります。予算に余裕があれば、最高級の日本ワインの世界にはさらに上の泡も待っています。
スパークリング甲州(ルミエール)
明治18年創業、山梨県笛吹市の老舗ルミエールが甲州で仕込む瓶内二次発酵の泡です。柑橘の爽やかさに酵母由来のほのかな旨みが重なり、和食と合わせたときの寄り添い方は見事のひと言です。価格はおよそ3,500円が目安になります。
お寿司や懐石との相性の良さから、和食好きな方への贈り物としても定番です。老舗の歴史ごと贈れるのも、この一本ならではの価値です。
安心院スパークリングワイン(安心院葡萄酒工房)
大分県宇佐市安心院(あじむ)町のシャルドネを主体に、瓶内二次発酵で仕上げた九州の星です。トーストのような香ばしい熟成香ときめ細かい泡は、国内コンクールで受賞を重ねてきた折り紙付きの完成度です。
実売はおよそ3,900円前後です。乾杯から食中まで一本で通せる懐の深さがあり、結婚祝いや昇進祝いのように格の欲しい場面で真価を発揮します。
甘口・微発泡の楽しい泡3本
最後は、肩の力を抜いて楽しむ3本です。やや甘口の泡、優しい微発泡、遊び心のあるペティアン。辛口の物差しでは測れない美味しさがここにはあります。ワインが苦手だった人の扉を開けるのも、たいていこのゾーンの泡です。
おたるナイヤガラスパークリング(北海道ワイン)
小樽の北海道ワインがナイアガラで造る、やや甘口の泡です。白ぶどうの甘い香りが泡と一緒に立ちのぼり、アルコール度数10%の軽やかさもあって、ワイン初心者やビール派の人にこそ響きます。
1,900円前後で買える気軽さも魅力です。よく冷やして、休日の昼下がりやデザートと一緒にどうぞ。
エスプリ・ド・ヴァン・ジャポネ 唯(グランポレール)
サッポロのグランポレールが山形県置賜産のデラウェアで造る、優しい微発泡のスパークリングです。デラウェア特有の華やかなアロマに爽やかな酸味が乗り、強すぎない泡が食卓にすっとなじみます。
600mlの飲み切りやすいサイズで、実売は1,300円ほどと今回の10本でいちばん手頃です。平日の晩酌に泡を足したい日の、ちょうど良い相棒になってくれます。
FUNPY 白泡(カーブドッチ)
新潟のカーブドッチが「楽しいワイン」を掲げて造るシリーズの微発泡です。デラウェアやナイアガラなど食用ぶどうも使った自由な発想のペティアンで、ガス圧1気圧ほどの優しい泡と甘やかな香り、飲み飽きしない軽快さが持ち味です。
実売は3,000円弱とペティアンとしてはやや背伸びですが、ワイン好きの友人が集まる持ち寄り会で確実に会話が生まれます。動物ラベルの可愛さも含めて、開ける前から気分が上がります。
シーン別の選び方
10本を眺めて迷ったら、開ける場面から逆算するのが近道です。乾杯用、ギフト用、家飲み用の3つの場面で、選び方の勘どころをまとめました。
乾杯用は「名前」と「色」で選ぶ
大勢で乾杯する場面では、味と同じくらい物語が効きます。祝いの意味を持つ嘉スパークリングはその代表で、名前の由来を一言添えるだけで場があたたまります。華やかさを足したいならロゼの色味も強い味方です。
人数が多い集まりでは、辛口とやや甘口を一本ずつ用意するのがおすすめです。ワインに慣れない参加者もおたるナイヤガラのような泡なら笑顔で付き合えます。
ギフトは瓶内二次発酵から選ぶ
贈り物なら、瓶内二次発酵の本格派を選んでおけばまず外しません。安心院スパークリングやルミエールのスパークリング甲州は、価格の格、受賞歴、産地の物語の三拍子がそろっています。
相手の食の好みがわかるなら、和食党には甲州の泡、洋食党にはシャルドネの泡と寄せるとさらに喜ばれます。予算や他ジャンルの候補も見たい方は3000円台の日本ワイン特集が参考になります。
家飲みは製法より気分で選ぶ
自宅の泡は、頑張らないのがいちばんです。金曜のごほうびなら2,000円前後の定番、平日にちょっと足すなら600mlの唯のような小さめサイズ、休日の昼ならやや甘口。冷蔵庫でしっかり冷やしておくだけで、家の食卓は十分に整います。
開けた泡は炭酸が抜ける前に、できればその日のうちに飲み切りましょう。飲み切れる容量から選ぶのも、家飲み上手のコツです。専用のシャンパンストッパーがあれば、翌日まで泡を持たせることもできます。
日本のスパークリングのよくある質問
スパークリング日本ワインはどこで買えますか?
今回の10本のような流通量のある銘柄なら、大きめの酒販店やワインショップ、オンラインストアで購入できます。ワイナリーの公式通販も確実です。品切れやヴィンテージ切り替えはあるので、贈り物の場合は少し余裕を持って探すと安心です。
シャンパンと日本のスパークリングは何が違いますか?
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で、決められた品種と瓶内二次発酵で造られたものだけが名乗れる呼び名です。日本のスパークリングには製法の縛りがないぶん、甲州やデラウェアなど日本のぶどうの個性を活かした多彩な泡があります。和食との相性は日本の泡に分があります。
飲み頃の温度はどれくらいですか?
辛口は6度前後、甘口や微発泡は4度から6度くらいのしっかり冷えた状態がおすすめです。冷蔵庫で3時間ほど、急ぐときは氷水に20分ほど沈めれば飲み頃になります。ぬるむと甘みが出て泡も粗く感じるので、飲む直前まで冷やしておきましょう。
まとめ
日本のスパークリングは、普段の乾杯なら2000円台までの定番、記念日や贈り物なら瓶内二次発酵の本格派、気楽な日なら甘口や微発泡と、場面で選べるだけの層の厚さを備えています。まずは気になった一本を冷やして、いつもの食卓で開けてみてください。
泡の次は、和食に寄り添う白の世界も覗いてみませんか。日本ワインの白おすすめ特集で、甲州やシャルドネの静かな実力を紹介しています。